歯科医院になんで栄養?
2025/11/21
歯科と栄養の深い関係|“食べる力”を支える口の健康
「歯科と栄養って関係あるの?」
そう思われる方は少なくありません。しかし実は、歯や口の状態は「食べること」そのものに直結しており、栄養と歯科は切っても切れない関係にあります。特に高齢者や医療的ケア児では、このつながりがより重要になります。
■ よく噛めることは“良い栄養”の第一歩
歯が抜けていたり、入れ歯が合っていないと、どうしても固い食品を避けるようになります。結果として、たんぱく質や食物繊維など、健康維持に欠かせない栄養が不足しがちです。
逆に、噛む力や歯の状態を整えることで食べられるものの幅が広がり、自然と栄養バランスが改善します。
「食べられる口をつくる」ことは栄養ケアの土台なのです。
■ 口腔機能の低下は低栄養を招く
高齢者に多い「オーラルフレイル(口の虚弱)」は、栄養状態の悪化に直結します。
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噛む力の低下
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飲み込みにくさ
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唾液量の減少
こうした変化は食事量の減少につながり、低栄養 → 筋力低下 → さらに口の機能低下…という悪循環に。
歯科での口腔ケアやリハビリは、この流れを断ち切る大切な役割を担っています。
■ 栄養は歯や歯ぐきの健康にも影響
歯や歯ぐきをつくる栄養素も重要です。
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カルシウム・ビタミンD:歯や骨の形成
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たんぱく質・ビタミンC・亜鉛:歯ぐきや粘膜の修復、免疫力
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ビタミンB群:粘膜トラブル予防
これらが不足すると、歯周病や口内炎、粘膜のトラブルが起きやすくなります。
“口 → 栄養”だけでなく、“栄養 → 口”という双方向の関係があるのです。
■ 糖質の取り方はむし歯に大きく影響
むし歯のリスクを高めるのは「量より頻度」。
砂糖入り飲料をちびちび飲むと、口の中が長時間酸性になり、むし歯が進行しやすくなります。
食事と間食のリズムづくりは、健康な歯を守る上でとても大切です。
■ 医療的ケア児・高齢者ではより密接な連携が必要
摂食嚥下の評価や食形態の調整は、歯科と栄養の両面からのアプローチが必要です。
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食べやすい形への調整
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とろみ・食事姿勢の工夫
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栄養士・看護師・介護職との多職種連携
訪問歯科では、単なる治療に留まらず
**「食べる機能を維持・向上させるためのチーム医療」**が欠かせません。
■ まとめ
歯科と栄養は、私たちが思っている以上に深くつながっています。
歯や口の状態を整えることは、単なる“お口の健康”ではなく、体全体の健康を守るための大切な栄養ケアです。
日頃から口の状態に意識を向け、必要があれば歯科に相談しながら「食べる力」を育てていきましょう。

